「失語症の日」レポート
このレポートは2020年のものです。2021年4月25日も「失語症の日」イベントを行います。詳細は失語症の日ホームページにて。
https://peraichi.com/landing_pages/view/425/
はじめに
2020年4月25日(土)に開催された「失語症の日制定記念イベント」に後援、協賛、出演、ご協力をいただきました皆様、誠にありがとうございました。おかげ様でコロナ禍の中でも、オンライン配信に変更して無事に開催することができました。制定委員一同、深く感謝申し上げます。
「失語症の日制定記念イベント」開催レポート
■日時
2020年4月25日(土)
■開催方法
新型コロナウィルスの感染防止の為、オンラインイベントに変更。
■実行委員
八島三男・園田尚美(NPO法人日本失語症協議会)
http://www.japc.info/
関啓子(三鷹高次脳機能障害研究所所長/言語聴覚士)
http://brain-mkk.net/
西村紀子(NPO法人Reジョブ大阪理事長/言語聴覚士)
https://rejob-workers.com/
立石雅子(日本言語聴覚士協会副会長)
https://www.japanslht.or.jp/
藤井達也(大阪府言語聴覚士会会長/株式会社メディケア・リハビリ)
http://kango.medi-care.co.jp/
松嶋有香(NPO法人Reジョブ大阪)
■動員数
動画視聴者数 のべ1,380名
アーカイブ視聴者数 のべ240名
合計動員数 1,620名
■アンケート結果より
■満足度
不満1~非常に満足5
■感想
アンケート結果より(70件の書き込みのうち、抜粋)
- 実際に失語症を経験された方のお話を聞くことで経験された方にしかわからない感情を細かく教えていただくことができ、失語症の方とコミュニケーションを取る上で参考になりました。ありがとうございました。
- このような取り組みは、本当にありがたいと思います。今は、まだ、失語という障害が世間一般に認知されていません。まず認知をと思う私達、当事者にとって、本当にありがたいです。
- 言語聴覚士を目指しているので、失語症について知ることができてとても良い機会になりました。
- 当事者の体験談を聞くことは本当に重要です。STとして反省したり気づいたりしたこともあります。
- 現在集会は難しいので、ネット配信はとても良い方法だと思いました。また、会場に行かなくても情報を得られることはいいことだと思いました。
- 私は将来言語聴覚士になりたいと考えています。現在は、大学で言語聴覚士になるため学んでいます。講義で病気についてはまなべますが、当事者の方のお話を聴くことのできる機会は少ないため、今回のネット配信を通してお話を聴けてとても良かったです。
- コロナの影響でのオンラインイベントだったと思いますが、今後もネット開催でより多くの人達が無理なく参加できると思いますので、継続して頂きたいと思います。
- 難しいかもしれませんが、すべてに字幕があるとさらに分かりやすかったなと思いました。
- 今日のイベントでは、失語症になってからの苦悩であったり、葛藤を当事者の方から生の声で聞かせていただけたので、失語症についての知識もより深いものになり、とても良い時間でした。
- 自宅にいても学びの機会が得られ、有意義な時間を過ごすことができました。直接顔を合わせての交流ももちろん大切ですが、今回のようなオンライン配信であれば参加できる人の幅が広がるので、素敵な取り組みだったと思いました。
- 当事者の生の声を聴くことができ、どのような時にはどのような思いでいるのがよく理解でき、心に響きました。
- オンラインだからこそ、今回偶然にも参加できたということもあり、様々な活動についても知ることができました。機会がありましたら、貢献できるように参加できたらと思います。
- もう少しわかりやすいといいと思いました。漢字やひらがなはダメなのですいません。
- 失語症の日制定の日記念イベント配信ありがとうございました!全国レベルで失語症のある人とご家族や周囲でかかわる方々とのつながり方の一つの始まりに参加できてとても嬉しいです。
- 登壇者のお二人とも、お話のスピードが速く、当事者は理解困難だったと思います。せっかく要点筆記の技術をお持ちの失語症協議会の協力があるのですから、画面にテロップがついていればよかったのに、と思いました。
- 当事者である沼尾さん、関先生のお話は大変分かりやすく、また実体験に基づいたものであるので、非常に心に響きました。
- とても良かったです。一人だった自分が仲間が出来たように感じました。
- 失語症、知っているようでいて理解してませんでした。沼尾ひろ子さんのお話、涙が止まらず、やはりご経験者のプロの生のお話は理解していなかった自分に一番強烈に入ってきました。
- 車椅子の方の会を階段しかない建物の上階でやるような、手話通訳のない聴覚障害者の会のような、視覚障害の方へのイベントに、スライド資料しか用意しないで、我慢してねと言うようなものです。
- 本来失語の日ですから、一般の失語の方が主体となって、支援者は一歩下がってサポートするようなイベントであって欲しいと思います。せめて情報補償の手段だけは確実に、来年以降の進行を検討していただけたら幸いです。
- 今回コロナで自宅にいるのでこの時間帯で良かったと思います。
- 当事者の方々にとっては、難しいイベントてあったように思いますが、一緒に盛り上げていけるよう、繋がりが広がりますように。
- 沼尾ひろこさんや加藤さんの話に、失語症の方って素晴らしい方ばかりのように思いました。関啓子さんのまとめにあった、「障害を価値に変える生き方(バリアバリュー)」を体現されているからですね。気づきをありがとうございました。
- 要点筆記があると当事者さんや一般の方々に分かりやすかったのではないかと思います。
- 失語症の方々と実際に会って情報共有してみたい。
- 当事者の加藤さんのコーナーで、画面下段に文字が出ているのがよかったです。
- 身近に失語症の人が居た時にどの様に受け止めて接したら良いか、とても参考になりました。
- 沼尾さんの力強いメッセージ、自然の風を感じながらお聴きし、特に職場復帰に関するお話は感銘を受けました。関先生のご講義はスライドを示していただき。本当にわかりやすく、改めて失語症を知ることができました。
- まず感じたのが、お二人の話と時間があまりにも長い!ひたすらお二人の話を30分以上聞いていて、しんどかったです。
- 次回は、若者も高齢の方も共に失語症者が社会に発信できる、失語症の日になってほしいです。
- 沼尾ひろ子さんの講演、当事者、その家族は、ここまで回復する場合もあることに驚きと勇気をいただいた反面、失語症を知らない人の中は、リハビリすれば普通に治るものと勘違いする方もいるかと。
■実行委員会反省会より
様々な意見が寄せられました。ある意味、このような本音に近い生の声が寄せられたこと自体、このイベントには大きな意味があったのだと思います。
急にオンラインで実施することになりましたので、特に、字幕、要点筆記など、いろいろと準備ができないこともありましたが、主催者側が描く理想形を押し付けるように提供するのではなく、未完成であるがゆえに、足りない部分や失語症者が望む部分は、医療職、支援者などに手伝ってもらいながら、皆で作り上げていく会にすればよいのではないかという結論に至りました。
■協賛企業・個人(掲載辞退者除く)(順不同)
株式会社 東京リハビリテーションサービス 様
株式会社サーカスサーカス 様
横浜失語症者のコミュニケーションを支援する会 金場理恵 様
NPO法人あなたの声 愛知県失語症者の地域支援を考える会 様
杉山あや 様
脳梗塞リハビリセンター 様
くるみの森よろず相談室 様
くるみの森オンライン言語リハ 様
阿部 学 様
おかちまちたろ 様
さちまる 様
萩野 未沙 様
FCM 様
KEIKO SEKI 様
加藤 朗 様
three-S代表 吉田直行 様
言語聴覚士 朝倉 寿雄 様
合田 真人 様
よりあいたっこ森ガーデン 様
山田晃司 様
西脇恵子 様
岡裕一郎 様
株式会社らぽ~る代表取締役 新飯田泰嗣 様
梶彰子 様
浜敏彦 様
岡本日出世 様
デイサービスことばの泉 様
カモメ音楽隊 様
前田達慶 様
瀧行政書士事務所 様
NPO法人言語障害者の社会参加を支援する会しゃべろーよ
田中昌明 様 田中加代子 様
市森豊子 様
失語症会話パートナー養成「あんど」様
日本ユニシス株式会社 様
保手希一郎 様
野田 敦子 様
渋谷 衣織 様
鈴木 貴美子 様
国立長寿医療研究センター 土井剛彦 様
一般社団法人山梨県言語聴覚士会 会長 内山量史 様
岸野 道子 様
戸根川 律子 様
石田 梨恵 様
池田 由美 様
遠藤 貴之 様
佐藤 誠一 様
W.Y 様
坂井 道子 様
石原真紀子 様
友井ノリユキ 様
Kaori Misono 様
小川幸起 様
梅澤直人 様
カトウヒロシ 様
柳田泰義 様
■後援(順不同)
一般社団法人 日本言語聴覚士協会
公益社団法人 日本脳卒中協会
一般社団法人 日本脳損傷者ケアリング・コミュニティ学会
チーム医療推進協議会
一般社団法人 日本作業療法士協会
日本医師会
公益社団法人 日本理学療法士協会
■イベントの様子(動画の構成)
■委員挨拶等
■祝電披露
■沼尾ひろ子さん講演
【プロフィール】
ナレーターとして活躍中の2006 年、突然脳梗塞に見舞われ失語症となる。その後、既存のリハビリのほか、アナウンススキルを活かした独自のリハビリを経て放送業界に復帰。復帰最大のキッカケとなった「フランダースの犬」の朗読と、自らの体験談の語りべとして脳梗塞(失語症)について広く伝える活動を行う。また、言語ボイストレーニング里山教室も開設 https://www.hirokonumao.com/home ナレーターとして活躍していた沼尾ひろ子さんが、失語症になり、その時に世界はどう見えたか、どのようにして復帰の道を歩んだかをお話してくださいました。 アンケートでは、「関わっている患者さんのことを思い出した」「涙が止まらなかった」などの感想が寄せられました。
■当事者の声:加藤俊樹さん
カメラメーカー勤務の加藤俊樹さんの動画。 アンケート結果で高評価の動画です。字幕ではなく「要点筆記」を添えました。次回からは、言語聴覚士会の協力を得て、「要点筆記」を添えていきたいと思っています。
■関啓子先生講演
【プロフィール】
言語聴覚士。半側空間無視などの高次脳機能障害の研究で知られるが、自身もまた高次脳機能障害の当事者となる。2013年からは、その経験を踏まえ、三鷹高次脳機能障害研究所を設立し、高次脳機能障害に対するリハビリテーションと相談にあたっている。医学博士。 関先生は、高次脳機能障害・失語症の研究者、またリハ職の言語聴覚士という立場で、当事者となった方。今回は『失語症理解のために~発話障害を経験した言語聴覚士から失語症の皆さんへ~』と題し、失語症の概論、不自由さなどについて、またリハビリのカギとなるものなど、ご自身の経験から来る知見をご講演いただきました。 アンケートでは、「実体験に基づいたお話なので心に響いた」「改めて失語症のことを知る機会となった」などの声が寄せられました。
■八代亜紀さん応援メッセージ&ミュージックビデオ
失語症協議会の会員のNさんが、八代亜紀さんの「だいじょうぶ」という曲を、新型コロナウィルスの感染防止の為、活動を自粛している仲間の応援歌にしたいという思いから始まった企画です。Nさんは、高次脳機能障害もある方です。人によって症状は様々ですが、Nさんの場合は「思い立ったら即行動」が顕著な症状。企画書を自分で書き交渉を始めていました。私たち実行委員も見たことがない企画書を囲んでの、八代亜紀事務所でも顔合わせ。一時はどうなることかと思いましたが、八代亜紀さんの事務所側も非常に心広く受け止めてくださり、最初から話を丁寧に聞いてくださいました。この経験からも、社会に受け止める余裕さえあれば、このような障害を持つ人も、その持ち前の能力を発揮し、必要充分に社会参加していけるのだと思い知らされました。
著作権保護のため、八代亜紀さんの画像は掲載しません。
■次回に向けて
支援NPOのニューノーマル。オンラインイベントの可能性
今回のイベントは当初、東京と大阪の2会場で開催する予定でした。しかし、新型コロナウィルスの感染が拡大し、このイベント開催が危ぶまれる中、実行委員会は話し合いを重ね、すべての講演を事前収録し、当日度の動画を全国一斉に公開配信する方法に大きく変更しました。
それに伴う様々な予約のキャンセル、手続きの変更はもちろん、撮影、編集など、新たな作業も増えましたが、なんとか間に合って、無事開催することができました。
その結果分かったことですが、オンラインで実施すると、感染リスクを下げられるということがまずあります。この障害を持つ方は基礎疾患のある人が多いため、当面「密」な状態は極力避けなけらばいけません。しかしオンラインですと自宅で動画を視聴するだけですから、そのリスクはほぼ0です。
また、東京と大阪という、二大都市に遠い地域の人も視聴できるという長所がありました。また、たとえ二大都市内であったとしても、会場まで出向くためには、外出するということが必須です。車椅子などの場合は、出欠が天候に左右されますが、オンラインですと、それもありません。
新型コロナウィルスの感染収束のめどが立たない今、また、いつ、第二波が来るか、はたまたコロナ後もまた新しい型のウイルスが流行るかもしれない中、オンラインという選択は、障害者のイベントとしてはとても有利であると思いました。アンケートにもそのような回答が多く見受けられました。
- 自粛の中、配信していただきありがとうございます。
- 大変な状況の中、オンラインでの開催ありがとうございました。お疲れ様でした。
- このような状況の中、拝聴できるようにご尽力いただき、ありがとうございます。
- この状況で、ここまでの配信をされたことに感銘を受けました。
- 長い間準備されて二転三転されてましたが、前撮りの配信という形、とてもよかったように思います。
- ステイホームの中ネット配信という形になったからこそ参加出来ました。素晴らしい企画になり感謝です。
■賛助会員・企業協賛のお願い
2020年度は募集を終了しました。2021年度以降は随時募集しています。詳細は失語症の日ホームページにて。
https://peraichi.com/landing_pages/view/425/
NPO法人Reジョブ大阪では、賛助会員と協賛企業を募集しています。
賛助会員は会費を当法人の運営に充てるもので、年会費は6,000円です。
企業協賛では、ホームページにリンク付きバナーを掲載します。バナー掲載料は一口、1年間で5,000円です。ぜひともご協力をお願い申し上げます。申し込み方法は簡単です。まずはご連絡をお待ちしております。
NPO法人Reジョブ大阪
代表理事 西村紀子